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クレジットカード会社の中でも、スーパーなどの小売店を多く加盟店に持つ流通系カード会社にとって重要なのは、レジにおける決済スピードの速さである。欧米と比較して現金主義が根強い日本において、小売店にカード決済を浸透させるためにはレジでの迅速な処理の仕組みが不可欠だ。そのため、過去にもサインレス決済などの施策を打ち出してきたイオンクレジットサービスは、このほどNTTデータが提供するカード決済総合ネットワーク「CAFIS」の「CAFIS-TCP/IPサービス」を導入し、回線コストの削減やオーソリ処理時間の短縮を実現している。イオンクレジットサービスの加盟店戦略からCAFIS-TCP/IPの導入について、取締役・加盟店開発本部長の上山政道氏にお話を伺った。 |
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――まずは、イオンクレジットサービスの現状について教えてください。
上山:当社は2003年2月期末で会員数1,130万人を数え、本年度も120〜150万人の会員増を見込んでいます。イオングループの新店舗の出店が順調に展開していることに加え、ディベロッパーによる新しい大型商業施設の開発も進んでおり、新たに提携したマイカルなど、営業フィールドは確実に拡大しています。そうした店舗を毎日利用されるお客様にイオンカードの会員になっていただくとともに、新しいサービスの展開を図っています。例えば、イオンとの提携により毎月の利用明細書を活用して、ワンデーパスポートやイオンフェスティバルなど、利用明細が届くタイミングに合わせて来店を促す企画を継続的に行っています。これにより、毎月数万人単位で、カードをご利用になるアクティブ会員が増えています。われわれクレジットカード会社にとって、利用されない“休眠カード”をいかに減らすかは大きな課題ですが、これについては、最大の加盟店であるイオングループとコラボレートすることによって少しずつ解消しているので、さらに続けていくことが重要でしょう。われわれのような流通系クレジットカード会社の強みは、何と言っても店舗と協力したプロモーションを行えることですから。
――加盟店開拓にはどのようなポリシーをもって取り組まれているのでしょう?
上山:われわれのお客様というのは、加盟店周辺の商圏内にお住まいの方がほとんどです。しかも、約75%の女性会員の多くが30〜50歳代の女性、つまり主婦層になります。当然、主婦の方が頻繁に利用される店舗を意識した上で、同一の商圏内における加盟店を増やし、会員の占有率を上げる方策をとっています。また、当社の加盟店以外におけるJCB、VISA、MasterCardの各ブランド経由での取扱いを見て、会員が支持している店舗を加盟店にしていくことにも注力しています。
――主婦というのは消費に対して最もシビアな購買層ですが、どのようなプロモーション戦略をとっていますか?
上山:具体的には、まず定期的なセールの企画があります。イオンから提供してもらっている毎月19日と20日の5%割引お客様感謝デー、イオンフェスティバルのクーポン券の提供、期間内の好きなときにカード決済でまとめ買いをすると割引、といった目に見える特典を提供しています。「カードを使ったほうが得」という感覚を持っていただける特典を加盟店と一緒に働きかけていくこと。それが会員になっていただき、さらには継続的に使っていただくための一番の動機付けになると思います。 |
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――顧客サービスの観点から御社が特に注力している点は何でしょう?
上山:小売店との結びつきが強い流通系カード会社として、まず力を入れてきたのはレジにおける精算スピードの向上です。クレジットカードというと、以前はどうしても「支払いに時間がかかる」「サインが面倒」といった、否定的なイメージがありました。そこで当社では、いち早くサインレス決済を取り入れるなど、お客様をお待たせしないサービスを徹底的に追及してきました。その甲斐あって、会員の方には現金の約半分程度のスピードで支払いが終わるという認識をお持ち頂けるようにまでなりました。
――加盟店におけるカードホルダーの利用傾向は?
上山:最近では、食料品購入時におけるカード利用が増加してきています。特に、マックスバリューなど新しいスーパーマーケットの形態をとっているイオンの店舗でその傾向が顕著になっています。当社の利用明細書を活用していただき、コラボレーション企画や新しいバリュー特典サービスを導入している店舗がどんどん拡大しているため、カードの利用自体も拡大しているのです。もちろん、お客様にも利便性を感じていただけていると思います。
――とは言っても、まだまだカードによる決済率は現金に及びません。
上山:元々われわれは、どちらかというとクレジットカードに不慣れなお客様を会員として取り込んでいるので、はじめはカードの利便性についても半信半疑だったのが、実際に店頭で使っていただくことでその魅力を分かっていただけるようになってきています。財布からカードを出すだけで精算ができ、レジで待つ時間が短縮されるのでお客様だけでなくお店の店員さんにとっても便利ですし、後ろに並んでいる人にとっても助かる。つまり、カードを使うことで決済時間が短くなるのは、すべての人にとってメリットがあるわけです。ただ、決済時間短縮のためにはサインレスなど運用上の改善だけでなく、バックヤードのシステム面での改良も欠かせません。そういった意味で、ネットワークのスピードについても常に改善を図っていきたいと考えており、NTTデータさんのCAFIS-TCP/IPを他社に先駆けて導入しました。 |
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――今回、TCP/IPを導入された際の検討事項は?
上山:まず、一番大切なネットワークの信頼性の高さ、次に決済処理時間の短縮、そしてコストパフォーマンス向上の3つの視点から検討を重ねました。信頼性については導入試験段階で確認できましたし、コストパフォーマンスについてはトランザクション1件当たり約10%の改善につながっており、こちらの効果も期待通りのものでした。また、処理時間については当社〜CAFIS間で半分以下に短縮されました。当社は流通系クレジットカード会社の特性として、デイリーユースの利用加盟店が多くのウエイトを占めています。オーソリにかかる処理時間短縮は加盟店、会員の皆様へのサービス強化として、たとえ1秒であっても非常に意味があるのです。
――今後のイオンクレジットとしての加盟店獲得に関しての方針は?
上山:加盟店開拓については、利用の多い加盟店に当社のブランドマークをつけていただき、カードホルダーの方が安心して利用できるようにしたいですね。特典サービスについては地域密着型で推進しているので、規模の大小に関わらず地元の美味しいお店やサービスの良い店、そういった所にわれわれが発行しているカードの特典をつけてもらうのが重要になります。 |
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NTTデータのCAFISはカード会社、金融機関、加盟店、企業を広くオンラインで接続する日本最大のカード決済総合ネットワークで、クレジットショッピングやキャッシング、デビットカードサービス(J-Debit)、など幅広い業務をサポートしている。昨年からはTCP/IPの適用により、コストパフォーマンス良く、容易に、かつレスポンスも速く接続が可能になっている。
そのファーストユーザーとして採用を決めたのが、イオンクレジットサービスである。導入の経緯や効果について、同社情報システム本部システム企画グループの桜庭博文課長に話を聞いた。 |
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――今回、CAFIS-TCP/IPサービスを導入された経緯について教えてください
桜庭:当社では年間30%近い取引件数の増加に対応するため、オーソリネットワーク設備を強化することが直近の課題としてありました。その対応としては、旧来からの専用線を複数本追加する手法を予定していたのですが、ちょうどNTTデータよりCAFIS-TCP/IPが新サービスとして発表されたことから、検討を始めました。TCP/IPというプロトコルはインターネットの爆発的な普及のきっかけにもなり、今では極めてスタンダードな手順になっています。当社はネットワークに関して非常にコスト意識が強く、社内のネットワークでも常にコストパフォーマンスを追求し、入れ替えを行っています。CAFIS-TCP/IPについては、当初“ファーストユーザー”になることのリスクを懸念しましたが、加盟店様やカードホルダーの皆様にご迷惑をおかけしないことを第1に考え、最大限のリスクヘッジを行うということで導入を決定しました。また、1年後にクレジット会社4社でのオーソリネットワーク集約「共同FEP(MEGA)」を控えていましたが、今回の投資コストは1年以内に十分回収が可能であるとの試算と、何よりお客様へのサービス向上につながることから採用に至りました。 |
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――導入時の配慮事項としてはどのようなことがあったのでしょう?
桜庭:1つは体制の強化です。仕様作成段階から、社内、NTTデータ、メーカーと数カ月にわたる事前確認を行うことで相互に綿密な連携関係を確保しました。また、加盟店様やNTTデータにご協力いただき、必要かつ十分な検証を行い、万全の体制で導入に臨みました。サービスの展開については、一度にすべての回線をTCP/IPに切り替えるのではなく、CAFIS側に独自のプログラムを準備していただき、当社と関係の深い一部の特定加盟店を優先してサービスを開始、常にシステムの状態をモニターしながら順次展開を進めました。
――実際にCAFIS-TCP/IPを導入されてみての評価は?
桜庭:導入による効果については、まず圧倒的な処理速度を確保できたことが挙げられます。具体的には、CAFISからデータが送られてきて当社で与信判定をし、応答データをCAFISが受信するまで、これまで約2.5秒かかっていたものが0.8秒にまで短縮されました。これは、現時点では業界でもトップクラスのレスポンスだと思います。また、これまで多数保有していた専用線を2本に集約することで、回線のランニングコストを約60%削減。あわせて、即時切り替えが可能なバックアップ回線(ISDN)も確保しており、従来と比較して信頼性も向上しました。
カード決済の処理時間は加盟店端末やネットワーク環境の性能にも影響されるため、今回の対応によってすべての加盟店様やカードホルダー様が処理速度の高速化を体感できるというわけではありませんが、この「目に見えないサービス」を強化することが最終的にお客様の信頼を得る基本姿勢だと考えています。今回、クレジット会社の生命線とも言えるオーソリシステムについて、新商品対応をファーストユーザーとして導入し、やり遂げた意義は大きく、今後の戦略的なシステム対応への自信にもつながると思います。 |
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